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/ Gekkan Dennou Club 142 / Gekkan Dennou Club - 2000.3 Vol. 142 (Japan).7z / Gekkan Dennou Club - 2000.3 Vol. 142 (Japan) (Track 1).bin / ikap / kouza / dia2.doc < prev    next >
Text File  |  2000-02-06  |  9KB  |  376 lines

  1. ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  2.                             
  3. 7章
  4.  
  5.  コードの機能
  6.  
  7. ────────────────────────────
  8.                             
  9.  前回6章の続きです。
  10.  
  11.  ダイアトニックコードはメジャー/マイナースケールの各音
  12.  
  13. をルートに持つ7つのコードのことでした。この章ではダイア
  14.  
  15. トニックコードの機能について説明します。
  16.  
  17.  ダイアトニックコードには順に、度数による名前がついてま
  18.  
  19. す。これはローマ数字と記号、数字、アルファベットと組み合
  20.  
  21. わせて表記します。これによって、キーに左右されない指定が
  22.  
  23. できて便利なのです。こんな具合です。
  24.  
  25.  
  26.  
  27. 譜例:メジャースケールのダイアトニックコード
  28.   %CUT:-+deg_mj.cut
  29.   %CUT
  30.   %CUT
  31.   %CUT
  32.   %CUT
  33.   %CUT
  34.   %CUT
  35.   %CUT
  36.   %CUT
  37.   %CUT
  38.   %CUT
  39.   %CUT
  40.   %CUT
  41.   %CUT
  42.   %CUT
  43.   %CUT
  44.  
  45.                             
  46.  マイナースケールなら、3つのスケールに応じてこのように
  47.  
  48. 表記されます。
  49.  
  50.  
  51. 譜例:マイナースケールのダイアトニックコード
  52.   %CUT:-+deg_mn3.cut
  53.   %CUT
  54.   %CUT
  55.   %CUT
  56.   %CUT
  57.   %CUT
  58.   %CUT
  59.   %CUT
  60.   %CUT
  61.   %CUT
  62.   %CUT
  63.   %CUT
  64.   %CUT
  65.   %CUT
  66.   %CUT
  67.   %CUT
  68.   %CUT
  69.   %CUT
  70.   %CUT
  71.   %CUT
  72.   %CUT
  73.   %CUT
  74.   %CUT
  75.  
  76.   %CUT:-+deg_mn4.cut
  77.   %CUT
  78.   %CUT
  79.   %CUT
  80.   %CUT
  81.   %CUT
  82.   %CUT
  83.   %CUT
  84.   %CUT
  85.   %CUT
  86.   %CUT
  87.   %CUT
  88.   %CUT
  89.   %CUT
  90.   %CUT
  91.   %CUT
  92.   %CUT
  93.   %CUT
  94.   %CUT
  95.   %CUT
  96.   %CUT
  97.   %CUT
  98.   %CUT
  99.   %CUT
  100.   %CUT
  101.  
  102.  ああ、またイヤな記号のオンパレードです。コードネームだ
  103.  
  104. けでも大変なのに、なんかヘンな数字まで出てきやがって、
  105.  
  106. 「もう理論的なことはいい、オレは実践でいくぞ!」と決意し
  107.  
  108. た方もいるのではないでしょうか。しかし、コードネームが音
  109.  
  110. 符のいらない音符であったように、度数もまたメチャメチャ実
  111.  
  112. 戦的な便利グッズなのです。つーか、特にコード進行の話をす
  113.  
  114. る時に、度数がわかってないとそもそも説明自体ができないの
  115.  
  116. ですよ(これは前回触れましたね)。つまり、あるキーの中で
  117.  
  118. コードが動いている時、そのコードが主音に対して何度のコー
  119.  
  120. ドかを知る時に役に立つわけです。で、こんなことがなんで必
  121.  
  122. 要かというと、コードは度数の位置によって違う機能があって、
  123.  
  124. それを知るためなんです。どんなキーにも即座に音名を当ては
  125.  
  126. めることができ、また逆に、キーに関わりない表記が可能とい
  127.  
  128. う利点もあります。
  129.  
  130.  以上、コードの度数表記についてガーッと説明しちゃいまし
  131.  
  132. たが大丈夫でしょうか。
  133.  
  134.  
  135. ────────────────────────────
  136.   ダイアトニックコードの機能
  137. ────────────────────────────
  138.  
  139.  基本的に、コードはデタラメに組み合わせて良いわけではな
  140.  
  141. く、その「接続(進行)」方法について制約を受けていること
  142.  
  143. が多いです。たとえばコード1はコード2にしか進めない、と
  144.  
  145. か、要するにコードの道順、進行法則ですな。これは大きく分
  146.  
  147. けて3通りあります。で、この3通りの性格を「コードの機能」
  148.  
  149. と呼んでいます。
  150.  
  151.  
  152. 1.トニック:略号<T>
  153.  
  154.   Iのコード。トニックは曲のキー(調:トーナリティ)
  155.  
  156.  を決める要で、キーの主音をルートに持つコードです。
  157.  
  158.  メジャーキーならC('ceg')、あるいは4音形にしてCM7
  159.  
  160.  ('cegb')またはC6('cega')。
  161.  
  162.   トニックはどんなコードへも進めます。ちょっと気の早
  163.  
  164.  い話ですが、この性格を利用して転調しまくるのは常套手
  165.  
  166.  段です。
  167.  
  168.  
  169. 2.ドミナント:略号<D>
  170.  
  171.   ドミナントはVのコードです。ほとんどの場合、V7の
  172.  
  173.  形で使われます。これをテンションと組み合わせた時、非
  174.  
  175.  常においしい響きとなりますが、まだ先の話です。
  176.  
  177.   おや、しかし聞き覚えのある言葉ですね。コードタイプ
  178.  
  179.  の所でやったドミナント7コードのドミナント。あれはコ
  180.  
  181.  ードタイプを表すと同時に、コード自体の持つ機能を説明
  182.  
  183.  した言葉でもあったわけです。その機能というのは「トニ
  184.  
  185.  ックへの解決」。つまり、トニックに進むという意味です。
  186.  
  187.  響き的に「ドミナント→トニック」の進行は「終わった感
  188.  
  189.  じ」が強く感じられるものです。この原理は、ドミナント
  190.  
  191.  7thコードの構成音のうち、長3度と短7度の間にできる
  192.  
  193.  増4度の不安定な音程(トライトーン、G7ならfとb)の
  194.  
  195.  響きが、トニックへの進行によって解消されるというもの。
  196.  
  197.  これが「ドミナントモーション」と呼ばれるものであり、
  198.  
  199.  ドミナントの主要な機能です。
  200.  
  201.  
  202. 譜例:トライトーンの解決
  203.  
  204.   %CUT:-+tritone.cut
  205.   %CUT
  206.   %CUT
  207.   %CUT
  208.   %CUT
  209.   %CUT
  210.   %CUT
  211.  
  212. ◎ 音で確認        TYPE=OPM:SMP\S142_01.ZMS
  213.  
  214.  
  215.  
  216. 3.サブドミナント:略号<SD>
  217.                             
  218.   IVのコード。ドミナントほどの不安定さはなく、かといっ
  219.  
  220.  てトニックほどの安定感のない、どっちつかずのコードです。
  221.  
  222.  ドミナントへ進むことが多いですが、トニックへも進むこと
  223.  
  224.  ができます。4音形ならIVM7('face')またはIV6('facd')。
  225.                             
  226.  
  227.  
  228.  これら3つのコードを、まんま「スリーコード」、あるいは
  229.  
  230. 「主要コード」と呼びます。これらはコードの中でとくに重要
  231.  
  232. な機能を持ちます。また、メジャーキーなら全部メジャートラ
  233.  
  234. イアド、マイナーキーなら、トニック、サブドミナントがマイ
  235.  
  236. ナートライアドが基本となります(後述)ので、これら主要コ
  237.  
  238. ードだけで、響きの上でも「メジャー/マイナー感」を完膚な
  239.  
  240. きまでに打ち出すわけです。下の譜例をにらみつつ、T、D、
  241.  
  242. SD、T、D、SDと呪文のように唱えてさっさと覚えてしま
  243.  
  244. いましょう。
  245.  
  246.  
  247. 譜例:メジャーキーの主要コード
  248.  
  249.  
  250.  メジャーキーの主要コードは譜例の通り。トライアドに1音
  251.  
  252. 加えた4声コードではVのみドミナント7の形をとります。
  253.  
  254.   %CUT:-+mj_3cd.cut
  255.   %CUT
  256.   %CUT
  257.   %CUT
  258.   %CUT
  259.   %CUT
  260.   %CUT
  261.   %CUT
  262.   %CUT
  263.  
  264.  
  265. 譜例:マイナーキーの主要コード
  266.  
  267.  マイナーキーには3種類のスケールがありました。扱いの面
  268.  
  269. 倒なマイナーのダイアトニックコードですが、実用的な主要コ
  270.  
  271. ードを抜き出してみるとこんな感じです(線で囲ってあるもの)。
  272.  
  273. たとえばメロディックマイナーのサブドミナントはメジャート
  274.  
  275. ライアドの形をとるためマイナーキーのトーナリティを感じさ
  276.  
  277. せにくく、通常は使用を避けます。また、ナチュラルマイナー
  278.  
  279. のドミナントはただのマイナーコードであり、前述したドミナ
  280.  
  281. ントモーションの機能を果たせないため、特にV7に置き換え
  282.  
  283. て使用されます。
  284.  
  285.   %CUT:-+mn_3cd.cut
  286.   %CUT
  287.   %CUT
  288.   %CUT
  289.   %CUT
  290.   %CUT
  291.   %CUT
  292.   %CUT
  293.   %CUT
  294.   %CUT
  295.   %CUT
  296.   %CUT
  297.   %CUT
  298.   %CUT
  299.   %CUT
  300.   %CUT
  301.   %CUT
  302.   %CUT
  303.   %CUT
  304.   %CUT
  305.  
  306.  
  307.  
  308.  
  309. ────────────────────────────
  310.   代理コード
  311. ────────────────────────────
  312.  
  313.  以上は、トーナリティを確立する決め手となる主要コードの
  314.  
  315. 説明でした。言い方を変えれば、ダイアトニックスケールだけ
  316.  
  317. で作られたシンプルなメロディなら、これらの主要コードだけ
  318.  
  319. でも、まったく問題なく伴奏が可能。しかし、ダイアトニック
  320.  
  321. コードには7つのコードがあります。では、主要コード以外の
  322.  
  323. 残りの4つはどうしようもない役立たずの鼻つまみコードなの
  324.  
  325. でしょうか。そんなことはありません。
  326.  
  327.  これらの構成音を見てみると、T、D、SDいずれかに近い
  328.  
  329. ため、機能的にも共通性を持ちます。つまり、主要コード以外
  330.  
  331. のダイアトニックコードはこれらの代わりに使うことができる
  332.  
  333. んです。これによってコード選びの選択肢が増えるわけで、ハ
  334.  
  335. ーモニーの色彩感という点からも拡がりを持たせることができ
  336.  
  337. ます。これらのコードを「代理コード」と呼びます。
  338.  
  339.  各スケールのダイアトニックコードは、次の表のように機能
  340.  
  341. 別にグループ分けできます。
  342.  
  343.  
  344. ○メジャーキーの代理コード
  345. ┏━━━━━━━━━┯━━━━━━━┯━━━━━━━━┓
  346. ┃                  │  主要コード  │ 代理コード     ┃
  347. ┠─────────┼───────┼────────┨
  348. ┃    トニック(T)   │I IM7 I6  │ IIIm(7) VIm(7) ┃
  349. ┠─────────┼───────┼────────┨
  350. ┃   ドミナント(D)  │    V7      │  VIIm(7)-5     ┃
  351. ┠─────────┼───────┼────────┨
  352. ┃サブドミナント(SD)│ IV IVM7 IV6 │    IIm(7)      ┃
  353. ┗━━━━━━━━━┷━━━━━━━┷━━━━━━━━┛
  354.  
  355. ○マイナーキーの代理コード
  356. ┏━━━━━━━━━┯━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━┓
  357. ┃                  │  主要コード  │        代理コード          ┃
  358. ┠─────────┼───────┼──────────────┨
  359. ┃    トニック(T)   │Im Im7 ImM7│ IVm(7)-5  bIII(M7) bVI(M7) ┃
  360. ┠─────────┼───────┼──────────────┨
  361. ┃   ドミナント(D)  │    V7      │         VIIdim             ┃
  362. ┠─────────┼───────┼──────────────┨
  363. ┃サブドミナント(SD)│  IVm  IVm7   │      IIm(7)-5  bVII7       ┃
  364. ┗━━━━━━━━━┷━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━━━━┛
  365.  
  366.  代理コードについてはこの先、「ノンダイアトニックコード」
  367.  
  368. をやる時また出てきますので、その時になって混乱しないように、
  369.  
  370. 今のうちに覚えてしまうのが吉です。
  371.  
  372.  
  373.  
  374.  
  375. (EOF)
  376.